みなさんが日々使用されている化粧品には多くの原料・成分が含まれており、パッケージの裏面を確認することでどのような成分が入っているのかを確認することができます。
肌に直接触れるものだからこそ、安全面、効果面、環境面などが重視されるのではないでしょうか。
弊社で取り扱っているオイルやワックスは化粧品を作る上で欠かせない重要な原料です。本コラムでは主に化粧品原料としてのオイルやワックスについてご紹介します。
化粧品原料の基本を知る
化粧品原料の種類
化粧品を構成する基本成分としては水性成分、油性成分、水性成分と油性成分の乳化や可溶化・浸透・分散をさせる界面活性剤の3種類があります。
また、弊社が取り扱う油性成分には油脂・ロウ・高級脂肪酸・炭化水素・シリコーン油などがあります。
その他に機能を付加するための訴求性分、品質保持をするための添加成分として防腐剤・pH調整剤・酸化防止剤・増粘剤などで化粧品は構成されています。
化粧品表示名称
化粧品に使用されている全原料について、成分名を製品の容器またはパッケージに直接表示することが義務となっています。
表示される原料の名称は、日本化粧品工業会が作成している成分の統一名称である「化粧品表示名称」で記すこととなっています。アルガンオイルはアルガニアスピノサ核油、シアバターはシア脂など一般的に知られている名称と異なる名称も多くあります。
化粧品表示名称については以下のサイトから検索することが可能です。
化粧品に使われるオイルの特徴
オイルの成分と肌なじみ
オイル(油)は、脂肪酸3個がグリセリンに結合したトリグリセリド(トリアシルグリセロール)で主に構成されており、脂肪酸の種類や割合によってそれぞれの特性が違います。
(二重・三重結合なし)
飽和脂肪酸-
常温では固体
非常に安定
酸化しにくい
(二重・三重結合あり)
不飽和脂肪酸-
常温では液体
二重結合が多いほど酸化しやすい
二重結合が1つのオレイン酸は他の不飽和脂肪酸より酸化しにくい
種類 | 品名 | 飽和脂肪酸 | パルミトレイン酸(C16:1) | オレイン酸(C18:1) | リノール酸(C18:2) | リノレン酸(C18:3) | その他 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
植物性オイル | アボカドオイル | 15.1 | 6.1 | 58.1 | 19.1 | 1.2 | 0.4 |
アーモンドオイル | 8.2 | 0.6 | 64.7 | 26.1 | 0 | 0.4 | |
オリーブオイル | 13.4 | 1 | 76.4 | 7.7 | 0.6 | 0.7 | |
グレープシードオイル | 10.3 | 0.1 | 15.7 | 72.8 | 0.5 | 0.6 | |
コーン油 | 12.9 | 0.1 | 31.6 | 53 | 1.3 | 1.1 | |
米油 | 18.6 | 0.2 | 42.4 | 35.4 | 1.3 | 1.8 | |
セサミオイル | 14 | 0 | 38.6 | 46 | 0.5 | 0.2 | |
サフラワーオイル(ハイオレイック) | 6.4 | 0.1 | 79.6 | 12.8 | 0.1 | 1 | |
椿油 | 8.2 | 0.1 | 88.8 | 2.6 | 0.1 | 0.2 | |
ハトムギ油 | 13.9 | 0.3 | 53.6 | 30.8 | 0.5 | 0.8 | |
ヒマワリ油(ハイオレイック) | 33.6 | 7 | 34 | 17.9 | 0 | 0 | |
ボラ―ジオイル | 16.1 | 0.4 | 19.3 | 34.5 | 20 | 7.4 | |
マカダミアナッツオイル | 12.6 | 22.3 | 58.6 | 1.7 | 2.6 | 2.9 | |
ピーナッツオイル | 14.8 | 0 | 44.1 | 33.9 | 0.2 | 5.5 | |
動物性オイル | オーストリッチオイル | 28.9 | 3.4 | 38.9 | 25.4 | 0 | 0.5 |
馬油 | 33.62 | 6.97 | 33.96 | 17.91 | 2.82 | 0 |
単位:% 飽和脂肪酸:ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸
- 植物性オイル
-
不飽和脂肪酸の割合が高く、常温で液体
- 動物性オイル
-
飽和脂肪酸の割合が高く、常温で固まりやすい
若さの脂肪酸と呼ばれるパルミトレイン酸が含まれているオイルは少ないのですが、マカダミアナッツオイルには多く含まれている特徴があります。
オイルが基本的に肌なじみが良いといわれるのは、人の皮脂膜を構成する表皮皮質の構成成分がトリグリセリド(約40%)、ワックスエステル(約25%)、スクアレン(約12%)であり、構成成分が類似しているためです。
また、脂溶性ビタミンやファイトケミカルが含まれるため、美容効果が期待できます。
代表的な化粧品原料のオイル
アルガンオイル

化粧品表示名称
アルガニアスピノサ核油アフリカ北西部、モロッコで自生するアルガンツリーの種子から圧搾して採れるオイルで、アンチエイジング効果のあるビタミンEが多く含まれています。
MCTオイル

化粧品表示名称
トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルMCTオイルは中鎖脂肪酸のみで構成されたオイルで、長鎖脂肪酸と比較して低粘度で拡散性が良く、ヨウ素価が低いので酸化安定性も高いです。各種製品に対して幅広く使用されています。
オリーブオイル

化粧品表示名称
オリーブ果実油オリーブ油は品種や産地、収穫時期、しぼり方などで様々な特徴があります。

弊社で扱っているクロピュアオリーブオイルとピクアルエキストラバージンオリーブオイルは化粧品規格に該当しております。
色やテクスチャーの違いがあります。
グレープシードオイル

化粧品表示名称
ブドウ種子油とても軽いテクスチャーでさっぱりしており伸びが良く、肌質を選ばない使いやすいオイルです。
化粧品に使われるワックスの特徴
ワックスの成分と硬さ
動植物から得られるワックスは、高級脂肪酸と高級アルコールのエステルが主成分です。石油由来のパラフィンワックスは直鎖上の炭化水素が主成分です。
化粧品原料として使用されるワックスの中で1番硬いものはカルナウバロウです。パラフィンワックスはカルナウバロウと比較すると柔らかめです。
ホホバオイルは名称中にオイルが入っていますが、不飽和脂肪酸と不飽和アルコールとのエステルが主成分であるためワックスに分類されます。
代表的な化粧品原料のワックス
カルナウバロウ(カルナバ蝋)

化粧品表示名称
カルナウバロウカルナウバロウはブラジル北部の高地に自生栽培されているカルナウバヤシの葉または葉柄から採取されるワックスです。
化粧品原料として用いられるワックスの中では最も硬いです。使用時は、カルナウバロウより融点の低いワックスを少量加えることによって硬さの調節をします。
植物性のワックスの中では融点が最も高く、つや、丈夫さ、硬さなども植物性の中で最高です。
ミツロウ(蜜蝋)

化粧品表示名称
ミツロウ(蜜蝋)ミツロウはビーズワックス(Bees Wax;ミツバチのろう)とも呼ばれ、ミツバチの腹部の背板または腹板の下にある腺から分泌されるワックスです。
特に粘稠性(ねんちゅうせい)があるので成形しやすいです。
パラフィンワックス

化粧品表示名称
パラフィンパラフィンワックスは融点が約50~70℃で幅広いラインナップがあります。
単独使用では硬度が不十分なため、マイクロクリスタリンワックス(マイクロワックス)などを少量加えると硬度が上昇します。
ホホバオイル

化粧品表示名称
ホホバオイルは、不飽和脂肪酸と不飽和アルコールとのエステルが主成分であるためワックスに分類されます。
融点が7~8℃で、10℃を切るくらいから固まり始めます。湯せんをすることで、品質に変わりなく使用が可能です。酸化しにくく長期に渡って使用が可能です。
安心して使える化粧品原料を選ぶには、流通経路が明確で、各種データを入手することが可能なショップを見つけることが重要です。
山桂産業株式会社は1946年創業の油脂と蝋の卸売業者であり、近畿化粧品原料協会にも所属しております。試作や商品開発にお役立ていただける化粧品原料を多種多品目にて取り揃えております。
ご要望に合わせた原料選びやOEM・ODMのご相談も承っております。
お気軽にお問い合わせください。