気づけば、2025年もそろそろ幕を閉じようとしています。新しい年、2026年は午(うま)年。
干支にちなみ、「うま」にまつわる話題が気になってくる頃かもしれません。
そこで今回は、古くから私たちの暮らしに寄り添ってきた「うま」の恵みである馬油(ばーゆ/まーゆ)についてご紹介します。保湿やスキンケアに用いられてきたその魅力を少しのぞいてみましょう。
十二支における「 午(うま) 」とは
十二支は「子(ね)・丑(うし)・寅(とら)・卯(う)・辰(たつ)・巳(み)・午(うま)・未(ひつじ)・申(さる)・酉(とり)・戌(いぬ)・亥(い)」の12種類から成り、午(うま)は7番目にあたります。
干支というと年賀状や暦で目にする機会が多いですが、実は私たちの日常生活においても深く結びついている存在です。かつて十二支は、動物の象徴としてだけでなく、方角や時刻を示すためにも使われていました。
「午の刻」は、現在の時刻でいう11時から13時ごろを指します。その真ん中にあたる12時が「正午」。正午を挟んで前を「午前」、後ろを「午後」と呼ぶようになったのです。
今も私たちが自然に使っている言葉の中に、古くから伝わる十二支の名残が息づいています。
馬油の特徴と美容効果

馬のどこから採れるの?
馬油は実際には馬のどの部分から採れる油なのかご存じでしょうか。
馬油は、主にたてがみの下にある脂肪(こうね)や、尾の根元・皮下脂肪層から得られる脂肪油です。これらの部位は良質な脂質を多く含み、古くから貴重な天然の油として利用されてきました。
ヒトの皮脂に似ている
| ヒト(%) | 馬油(%) | |
|---|---|---|
| ミリスチン酸 | 3.0 | 3.7 |
| パルミチン酸 | 25.0 | 26.6 |
| パルミトレイン酸 | 9.0 | 6.4 |
| ステアリン酸 | 4.0 | 3.7 |
| オレイン酸 | 48.0 | 36.1 |
| リノール酸 | 11.0 | 17.8 |
| リノレン酸 | 2.8 |
私たちの生活に欠かせない油脂には、大きく分けて「植物性」と「動物性」の2種類があります。どちらも保湿や栄養補給に役立ちますが、実は動物性の油脂の方がヒトの皮脂に近い脂肪酸構成を持っています。なかでも馬油は、その代表的な存在です。人の肌に含まれるオレイン酸やパルミチン酸などを多く含んでおり、まるで自分の皮脂のようにスッと肌になじんでくれます。
さらに、馬油は浸透の早さも魅力のひとつです。肌にのせるとスッと吸い込まれるように広がり、べたつきを感じにくい軽やかな使い心地です。乾燥が気になる季節でも、肌をやさしく守りながら自然なうるおいを保ってくれる頼もしい味方ともいえます。
ひと口に「馬油」といっても、その成分はすべて同じというわけではありません。実は、馬がどんな飼料を食べて育ったかによって、脂肪酸の構成には微妙な違いが生まれます。
弊社で取り扱っている馬油は、雑穀を中心とした飼料で育った馬から採取されたものです。そのため、放牧で青草を多く食べる馬に比べて、パルミトレイン酸を2倍以上も豊富に含んでいるのが特徴です。
このパルミトレイン酸は、人の皮脂にも含まれる成分で、肌をやわらかく保ち、ハリを与える働きがあるといわれています。つまり、飼料の違いがそのまま「肌へのなじみ方」や「うるおい感」にも影響してきます。
どの季節でも使いやすい「微水添馬油」
馬油は融点が約30℃と低いため、夏は液体、冬は固体になるという特徴があります。体温に触れるとすぐに溶けて肌になじむのも、この融点の低さによるものです。
そんな馬油の特徴を活かしつつ、さらに扱いやすくしたのが、「微水添馬油(びすいてんばーゆ)」です。馬油に含まれる不飽和脂肪酸の一部を残しつつ水素添加することで、融点を約5℃高めた改良タイプです。これにより、夏の高温でも完全に溶けきらず、安定した質感を保つことができます。
もちろん、馬油本来の肌なじみの良さや自然な保湿感はそのままで、季節を問わず扱いやすく、まさに進化した馬油といえます。
高保湿で乾燥肌のケアに最適
馬油は、ヒトの皮脂と脂肪酸の構成がよく似ているため、肌になじみやすく、すっと浸透していくような使用感が魅力です。乾燥によってごわつきがちな肌をやさしく包み込み、しっとりとやわらかな手触りへと導いてくれます。
ただし、使うときには肌質との相性にも少し注意が必要です。油分が豊富なため、脂性肌の方がたっぷり使うと、皮脂が過剰になりニキビの原因となることもあります。乾燥が気になる部分だけに少量をなじませるなど、肌の状態に合わせた使い方がおすすめです。
馬油の上手な使い方
肌なじみの良さで人気の高い馬油。ここでは、顔や身体への使い方をご紹介します。
お顔への使い方
洗顔後、まずは清潔な手のひらに少量の馬油を取り、体温でやさしく温めてからお顔全体に伸ばします。そのあとで化粧水をなじませるのがポイントです。
一般的なスキンケアでは「化粧水 → クリーム・オイル」の順番ですが、馬油はヒトの皮脂に近い脂肪酸組成をもっているため、ブースター(導入美容液)として使うのがおすすめです。化粧水の浸透を助け、しっとりしたなめらかな肌へと導きます。
お顔以外への使い方
馬油は顔だけでなく、手や指先、ひじ、ひざ、かかとなど、乾燥が気になる部分の保湿にもぴったりです。
少量をのばすだけで肌をやわらかく整え、うるおいのヴェールで包み込みます。
おわりに
古くから生活の中で親しまれてきた馬油は、時代とともに進化を遂げています。
自然の恵みをそのままに、より使いやすく改良された微水添馬油も、現代の肌に寄り添う新しい存在です。
「午年」を迎える2026年、馬の恵みから生まれたこの万能オイルで、健やかでうるおいあふれる一年をスタートしてみませんか。
山桂産業株式会社は、1946年創業の油と蝋の専門卸売店です。
今回ご紹介した馬油のほかにも、さまざまな油や蝋を取り揃え、皆さまの暮らしやモノづくりをさりげなくサポートしています。
