「油は古くなると酸化する」と聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
油は空気中の酸素などの影響を受けることで、少しずつ酸化が進みます。しかし、すべての油が同様に酸化するわけではありません。
では、油によって酸化しやすさが異なるのはなぜでしょうか。
この記事では、油の酸化の仕組みや、酸化しやすさを考えるうえで重要な「ヨウ素価」、さらに酸化という性質を利用した油の用途や、酸化を抑えるための保存方法について解説します。
油はなぜ酸化する?
油の酸化は
- 酸素
- 光
- 熱
- 金属 など
によって促進されます。
また、油に含まれる脂肪酸の種類が関係しています。特に、二重結合を持つ不飽和脂肪酸は酸化を受けやすく、一般的には不飽和度が高い油(不飽和脂肪酸が多く含まれる油)ほど酸化しやすい傾向があります。
酸化しやすさを見る指標「ヨウ素価」とは?
ヨウ素価とは、簡単に説明すると油の酸化しやすさを数値化したもので、油脂に含まれる不飽和結合の多さを示す指標です。
| ヨウ素価 | 不飽和度 | 酸化との関係 |
|---|---|---|
| 低い | 比較的低い | 酸化されにくい傾向 |
| 高い | 比較的高い | 酸化されやすい傾向 |
しかしながら、「ヨウ素価が高い=必ず酸化が早い」ということではなく、実際の酸化安定性には脂肪酸組成以外にも、油に含まれる天然の抗酸化成分、光・熱・酸素への曝露など、いろいろな要因が関係します。
酸化する性質を利用した「塗油」
油の酸化は、保存するうえではできるだけ抑えたい現象で劣化の原因となりますが、その性質が役立つ場合もあります。
一般的に、ヨウ素価が高い油は酸化しやすく、空気中の酸素と反応することで固まりやすくなります。この性質を利用して、木材などの塗油に乾性油は使われています。
| 乾性油 | 半乾性油 | 不乾性油 | |
|---|---|---|---|
| ヨウ素価 | 130以上 | 100~130 | 100以下 |
| 酸化による状態変化 | 空気中の酸素と反応して比較的速く固化 | 乾性油と不乾性油の中間 | 酸化による固化が起こりにくい |
| 代表的な油 | 荏油、亜麻仁油、桐油 | ごま油 | オリーブ油、菜種油 |
塗油に利用される油
山桂産業では、代表的な乾性油から、乾燥性や塗膜の特性に特徴のある油まで、さまざまな油を取り扱っています。
荏油(えごま油)
リノレン酸、リノール酸、オレイン酸などの不飽和脂肪酸を多く含み、代表的な乾性油の一つです。
亜麻仁油
荏油と同様、代表的な乾性油の一つです。乾燥すると水や油に溶けにくい黄色い膜を形成するため、木工用などに利用されています。木工用の亜麻仁油(あまに油)は、食用の亜麻仁油と比べてロウ分が多く、粘度が高いのが特徴です。
煮亜麻仁油
亜麻仁油を真空下で300℃近くまで加熱して加工したものです。通常の亜麻仁油より乾燥が速く、耐水性・耐光性・耐アルカリ性にも優れています。
桐油
ヨウ素価は亜麻仁油や荏油と比べて低いものの、乾燥速度が非常に速く、乾性油の中でも特に速乾性に優れています。
くるみ油
当社では食用グレードのくるみ油を工業用・木工用として販売しています。そのため、そば打ち道具の延し棒(麺棒)や延し板のお手入れのほか、お子様が口にする可能性のある積み木などの木工製品にも使用できます。
紅花油(サフラワーオイル)
くるみ油と同様、食用グレードのものを工業用・木工用として販売しています。木製品のお手入れなど、口にする可能性のある木工製品にも使用できます。
脱水ひまし油
不乾性油であるひまし油を脱水反応によって乾性油にしたものです。従来の乾性油と比べて速やかに重合し、耐水性に加えて、可撓性(かとうせい)、硬度、光沢に優れた塗膜を形成します。
油の酸化を防ぐには?
油の酸化を防ぐためには、原因となる酸素・光・熱・金属などの影響をできる限り少なくすることが大切です。
調味料などで「直射日光を避け、冷暗所で保管してください」と記載があるのは、酸化等の変質を防ぐためです。
山桂産業では酸化しにくいよう容器にも配慮しています
弊社では、油の性質や用途に応じて、できるだけ酸化の影響を受けにくい状態でお届けできるよう、容器にも配慮しています。
乾性油は空気中の酸素と反応して酸化・固化する性質があるため、保管時には油をできる限り空気に触れないようにすることが大切です。塗油の多くは瓶で販売されていますが、瓶の場合、開封後は容器内の空気と油が接する面積が大きくなります。そのため、栓を閉めて保管していても、瓶の中に残った空気によって油の酸化が徐々に進むことがあります。
乾性油の酸化が進むと、酸化臭が生じるだけでなく、容器の口やフタ周辺で油が固まり、フタが開けにくくなるなど不都合が生じることがあります。


そこで、弊社では写真のようなスクイズタイプの酸化防止容器を採用しています。この容器は二重剥離構造になっており、容器を押して油を出すことで、開封後も油が空気に触れにくい構造になっています。
そのため、一般的な容器と比べて、保管中の酸化を抑えることができます。また、柔軟性があるため必要な量だけをスクイズ(搾り出し)することができ、中身が減っても外側の容器が元の形状に戻るため、通常の容器と同じく立てて保管ができるのも特徴です。
油は「酸化するからこそ活用できる」一面と、「酸化をできるだけ防ぎたい」一面の両方を持っています。油の種類や性質、用途に合わせて適切なものを選ぶことが大切です。
山桂産業では塗油としてお役立て可能な乾性油以外にも、化粧品原料、石けん材料、キャンドル材料など幅広く油や蝋(オイルやワックス)を取り扱っております。小容量から業務用まで、個人様・法人様を問わず、離島への配送にも対応しています。
