食用油は一般的に空気に触れても固まりませんが、油の中には空気に触れることによって酸化して固化する油というものがあります。今回はそういった油についてご紹介します。
乾性油とは
空気に触れた油が酸化した際に乾いて固まる油のことです。
油は空気に触れることによって酸化しますが、乾性油は酸化する際に乾いて固化します。
この特性を生かして木材の保護として木工用塗料などによく使用されています。
ヨウ素価とは
その油が乾性油であるかどうかはヨウ素価という指標で分類します。
ヨウ素価とは簡単に説明しますと油の酸化しやすさを数値化したもので、数値が高いほど酸化しやすい油となります。決してヨウ素が油の中に入っているわけではありません。
油を構成する脂肪酸中には二重結合を持つ不飽和脂肪酸というものがあり、その二重結合が化学的に不安定であるためヨウ素と結合します。油脂100gに対して付加することができるヨウ素のg数をヨウ素価と言います。
一般的にヨウ素価が130以上のものを乾性油、100〜130のものを半乾性油、100以下のものを不乾性油といいます。
乾性油の種類
油の中でヨウ素価が130以上である乾性油については、以下のものがあります。
名称 | ヨウ素価 |
---|---|
荏油 | 185〜205 |
亜麻仁油 | 170~195 |
煮亜麻仁油 | 170~195 |
ローズヒップ油 | 170〜190 |
桐油 | 160〜173 |
月見草油 | 145〜170 |
紅花油 | 140〜160 |
脱水ヒマシ油 | 140〜144 |
ボラージシード油 | 130〜155 |
ザクロ種子油 | 130〜170 |
グレープシード油 | 128〜150 |
クルミ油 | 123〜166 |
木工油の種類
乾性油の中でもこれからご紹介する油は、自然塗料として木材の保護や艶出し、耐久性や撥水性、防虫効果などの利点があるため古くから木工油として使用されており、弊社でも取扱っております。

アマ科の亜麻という植物の種子からとれる油です。
代表的な乾性油で、木工油のなかではサラッとしており塗りやすいのが特徴です。

亜麻仁油を300℃近くで加熱したものが煮亜麻仁油です。加熱することにより乾燥が早くなります。

シソ科のエゴマという植物の種子からとれる油です。
こちらも亜麻仁油と同様に代表的な乾性油で古くから木材の保護や艶出しとして使用されてきました。

アブラキリという植物の種子からとれる油です。
桐油は硬い膜を形成し、防水性、耐久性に優れていますので、ウッドデッキなどの雨風に晒される外装によく使用されております。

クルミの種子からとれる油です。
当社の販売しているクルミ油は食用の油ですので、木のスプーンや蕎麦打ちの棒などの人の口に入るようなものによく使用されています。

ヤブツバキの種子からとれる油です。
乾性油ではないのですが、酸化安定性が高いため刀や将棋の駒や盤などのお手入れとして使用されています。

不乾性油のヒマシ油を化学反応により乾性油にしたものです。
アマニ油よりも速乾性であり、塗膜は非黄変性、耐密着性、耐化学薬品性、耐水性、可撓性、硬度、および光沢など何れも優れています。
油は食用や化粧品用だけでなく、酸化により固まる特性を生かして木材に塗る木工油という使い方もあります。
自然塗料である木工油についてご興味を持っていただけましたら、以下の「自然塗料の種類と木材への塗り方」もご覧いただけると幸いです。